どこまでもまっすぐに 田中將介(^^)

読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

エシカルを疑う 田中將介

おもしろいことは言えません。 しかし、誰かがおもしろいことを言ったことに対しては、ものすごい勢いで笑います。そんな人間です。Twitter:@ethicalmasa

女優杉本彩が語るエシカル  動物福祉に取り組んだわが半生―美しさに犠牲はいらない

女優として有名な杉本彩氏だが、公益財団法人動物環境・福祉協会Eva理事長として動物愛護活動にも精を出していることはあまり知られていない。

そんな杉本氏が朝食会にて講演を行った。

「動物福祉に取り組んだわが半生―美しさに犠牲はいらない」と題して

これまでの活動と今後の展望を語った。

「動物殺処分上のリアル」や「オークションにかけられていく動物たち」など

本人の経験から語られるその一言は、重くのしかかった。

 

 

幼少期から20代を振り返って

 

皆さんおはようございます、杉本彩です。動物福祉に取り組んだわが半生を30分で語るのはとても無謀なんですが(笑)、精一杯お話しようと思います。

 

私は動物愛護活動に25年以上取り組んでおります。最初は個人で身近なところから活動をスタートしました。

 

私も最初は無知な消費者で、知らないうちに動物への暴力に加担していたと思うと、

今振り返ると本当にぞっとしますが、

この活動通していろんな事を知れてよかったなと思っています。

 

この活動を行っていく中で、環境などの地球レベルのことに関して、他人事ではなくリアリティを感じれるようになったり、1つの命に対する思い入れが強くなっていることはよかったなと思っています。

 

私は8匹のねこと3頭のいぬと大家族で生活しています。

様々な事情があって保護されたいぬやねこたちです。

幸せに私の家族として生活しています。

中には殺処分直前だった子もいます。被災した猫もいます。

 

私が子供の頃、物心ついたときから兄弟のようにねこと過ごしてきました。

ねこの出産にも立ち会い感動した記憶もあります。

誰に教えられたわけでもないですが、動物は人間の言葉が話せないだけで、人間と同じように感情があって、心があって、知能も高い。

私たちと変わらない生き物であると子供の頃から感じていました。

 

芸能界に入ってさらに動物に対する思いが強くなっていきました。

今でも思い出に残っているのが、ラジオのパーソナリティをやっていた20代のときです。

 

リスナーの方からねこを引き受けて代わりに里親を探すなどの活動をしました。

 

他にも、環境省が定義している、地域の問題として増え過ぎてしまった野良猫の数を抑制し、

住民やボランティア等が共同管理することで、最終的に飼い主のいない猫をなくすことを目標としている

「地域猫活動」というものがあるんですが、

その活動の一環であるTNR活動(Trap:捕まえる Neuter:不妊手術 Return:元に戻す)をしたり、

 

その活動は手術台やご飯など費用がかさむので、

近所の工場の中で、チャリティイベントをして資金を捻出していました。

 

20代はそういった活動を主にしてきました。

 

最近は、芸能界でも、動物愛護を訴える方が増えてきましたが、

日本の芸能界は、個人事業主ではなくプロダクションに所属している人が多いため、プロダクションの意向に従わなければならないことが多く、問題の背景にある法律に触れたり、

他の人や団体に協力を得る事が難しいです。昔と比べてだいぶ状況は変わってきたようには思います。

 

 

動物の殺処分場で見た光景が忘れられない

 

これまでの動物愛護活動の中でEVAを立ち上げた理由をお話したいと思います。

「これまでの活動を続けても、終わりが見えない」「根本的な問題を解決しなくてはいけない」と強く感じ、さらに、個人での活動にも限界を感じ始めたのがきっかけです。

 

設立当時は一般財団法人で、1年後には公益財団法人にしました。

 

(これは被災地にいったときの写真です。)

 

問題を知ってもらうために、講演会を開いています。

講演会を通じて、「里親になることを選択しました」と報告してくださる方がいると、

この活動をやってよかったなと思います。

 

また、視察もするようにしています。

神奈川県は、民間のボランティア団体によって殺処分ゼロを達成しました。

しかし、それは喜べることではありません。問題は山積みだからです。

活動のゴールは殺処分ゼロではなく、無責任な飼育放棄をゼロにすることです。

 

今でも忘れられない光景があります。それは動物の殺処分場です。

 

動物の処分室に二酸化炭素を入れられ、もがき苦しみ亡くなっていく様子がモニターの画面に映し出されていました。

 

日本社会は、こういった大きな罪を犯し続けています。

まだ終わっていません。

人間の身勝手な理由で、何の罪もない動物が莫大な数、殺されています。

年々減ってはいるものの、最新のデータによると8万頭以上のいぬ、ねこが殺されています。

 

行政処分だけでなく、ペットショップで展示販売されている様子を見かけるのは日本だけです。

完全にないとは言えませんが、先進国である欧米諸国においては当たり前のように誰でもいつでもお金を出せば動物が購入できる市場はほとんど成り立っていません。日本だけです。

 

この現状は異常なことであると認識すべきなんです。

 

オークションで落とされていく動物たち

 

動物が流通していく過程においても、動物は命を落としています。

抵抗力のない幼いときに、そして、親から離してはいけない時期にオークションにかけられ、

バイヤーが買い付けにくるという流通の仕組みの中で、

たくさんのいぬやねこが苦しい死を遂げています。

 

言葉を持たないからといって動物の命を軽んじる社会に、人の幸せは成り立たないと思っています。

日本の社会が、動物含め、命をどう扱い、命をどう向き合うかという、

本当に重要な問題であることを多くの人が気付かなければいけません。

 

EVAの活動を続けてきて、多くの命と向き合って、天国に見送ってきました。

その中で動物の福祉の向上が社会にとって大切だと感じています。

 

ある一匹のねこの話をしたいと思います。

数年前に見送った子は、そもそも全く歩けない子で、行政の施設にいました。

ほっといたら確実に殺処分される運命でした。

 

そのことが容易に想像できたので、私はどうしてもこの子を引き取ると決めました。

2年間介護してその子は生涯を全うしましたが、

動物の目線で物事をみる、弱い立場の目線から見るには「想像力」が本当に大切だとそこで感じました。

 

言葉の喋れない人たちの痛み悲しみを創造する、感じる心を養うことは、例えばいじめの問題はなかなかなくなりませんが、そういった人間社会のことにもつながってくるのではないでしょうか。

 

 

「素材を調達する過程の中で動物虐待はなかったかを追う」ことは困難

 

これまで、様々な問題に取り組んできましたが、やればやるほど動物を取り巻く問題ってたくさんあるなと感じています。例えば、毛皮の問題。問題の背景を知った時点で毛皮製品を身にまとうことはなくなりました。

 

ピーターという団体から「NO FARのポスターに協力してくれないか」オファーがきたことがあります。

そのキャンペーンは「毛皮を着るなら裸のほうがましよ」というコンセプトで、

ハリウッドスタが一肌脱いでるんですが、アジア人としては初めて脱いだと言われました(笑)

 

日本と欧米の考え方は違うところがあるので、日本社会において受け入れられない人もいたんですが、

私にできる最善の事をやりたいという気持ちが勝りました。

 

FARを使わなくても素敵なファッションが着れるんだ、

そしてそれを企業のブランドメッセージとして発信したいなと思うようになり、

動物性の素材を使わないLiberata(リベラータ)というコスメブランドを立ち上げました。

まだまだ何の利益も出てないですが(笑)メッセージが伝わればいいなと思っています。

 

私は動物の副産物を使うことは悪いとは思っていません。

けれど、商品を提供する側になり、素材を調達するときに、

「この素材を調達する過程の中で、虐待はなかったかを追う」ことは困難でした。

素材の原料を提供してくれた動物がどんな環境だったか、どこまでアニマルフェアに配慮しているか、

徹底的に追求しようと思ったんですが。

 

だから、動物性の素材を使うことをやめました。

 

私の周りは「それだけは勘弁してください」という感じだったんですが、

自分たちの利益を優先するよりエシカルに配慮するべきだと主張しました。

 

そして今、そういう原料にたどり着けました。

沖縄のやんばる島豚のプラセンターを使わせてもらっています。

大量生産できない豚さんで、食べるものは、海藻など自然なものです。

広大な土地にストレスない環境で生活している動物たちが管理されている豚さんです。

消費者側の理解度をあげるためにも、必要なことだと思っています。

 

 

命に消費期限をつけていいのか

 

エシカルと真逆をいくペットビジネスが日本に蔓延しています。

 

大量生産の問題にまだまだ気づいていない。

このビジネスが最終的に淘汰されるように頑張ります。

 

命を流通するということは、動物でも他の商品でも一緒で、消費期限切れの食品ということは

生後3ヶ月の消費期限切れのわんちゃんということになります。

商品として価値のある間は短い。特に日本人は小さくてかわいい動物が好きです。

3ヶ月経つと大きくなって、価値がなくなり、ディスカウントされてセール品となります。

 

野菜と一緒ですね。曲がっていたりなど、形の悪いものは安くなる。

 

動物で例えると、規格外サイズとなり、商品価値はありません。

その後どうなるか。

闇に葬られます。

 

他にもパソコンの型落ち商品と同じで、流行があります。命に流行りをつけているということです。

 

人気犬種のブームが終わると、大量に山に捨てられてしまいます。

そしてモノには返品が伴います。

動物の返品を受け付けるビジネスが始まりました。

 

心ある消費者は先天性障害が見つかっても普通は返品しない。そんなこと簡単にはできないはずです。

 

莫大な医療費を使って、看病している人もいます。

だからこそこういったビジネスもやめさせましょうよ。

消費者のためにもなりません。

産めや増やせやの繁殖場には、バイヤーが買い付けに来ます。

バイヤーたちが繰り広げるオークションは見ているだけでつらいです。

 

売り手は、ペットが小さいうちに売らなければいけません。

そのため、何もペットの背景を説明しないまま、適当に「里親がいないです」といって、

買い手の衝動買いを促すようなキャンペーンを行って、飼い主を見つけさせます。

 

無知のまま動物を迎えると、いろんな問題が生じます。

しつけが大変になり、面倒見きれず、安易な飼育放棄につながります。

 

引き取り屋ビジネスをなくすのは消費者の力

 

平成25年、改正動物愛護法が成立される前、

業者の不要ないぬ、ねこは自治体が受け皿となって殺処分していました。

 

法律が制定されてから受け皿を失った業界は、引き取り屋というおかしな商売ビジネスに頼るようになりました。

 

NHKのクローズアップ現代でも引き取り屋ビジネスが取り上げられ、

ようやくペット業界の闇が露呈化してきました。

 

生態販売はこうした悪質な引き取り屋がいなければ成立しないビジネスなんだなと

世の中の人がだんだんわかるようになってきました。

 

ペットたちは死ぬまで待ち続ける以外どうしようもありません。

医療はほどこしません。身体はがりがりで、骨が浮き出ています。ひたすら放置する、生き地獄です。

疾患をもっていても、気にせず繁殖させます。

 

そのいぬやねこを購入した消費者も損害を被っています。

 

私たち人間は地球の一員であることを忘れてはいけません。

利益追求のために商品として命を犠牲にしていることに対して、厳しい目を向けなければいけません。

 

消費者として、何を選択するかが、本当に大切ですよね。

 

最近、スーパーに行って、買い物をするときに、食品の裏の表示をみればみるほど購入できなくなってきます(笑)知識がついてくると、危険なものがわかってきてしまうんですね。

 

それでも、妥協なくモラルある商品を選び続けたいと思います。

企業にとってもそれは持続可能なビジネスになります。

 

美しさに犠牲はいりません

 

ここまで話してきましたが、私は、自分を偽ってごまかした発信をしてきたとしたら、

芸能界でここまで生きられなかったと思います。

誠実であることは、全てにおいて大事です。

 

本当の成長って成熟することだと思うんです。

企業も消費者も、世のため人のためになることが、最終的に利益につながることが大切だと思います。

 

自分の魂を汚すような生き方をしてはいけません。

美しさは、何を選択するかどういう生き方をするかで、変わってきます。

 

その生き方を選択することが美しいことだと思うんです。

美しさに犠牲はいりません。これからも根気強くやっていきます。

ありがとうございました。

 

取材、編集 田中將介